日本中が湧いた富士山の世界文化遺産登録。しかし、糞尿まみれでその美しさを維持できない恐れあり??  <2/2>

富士山はガラパゴスの例を真剣に捉えないと、ガラパゴスの二の舞になる恐れがある。

昨年、日本時間6月22日にカンボジアの首都プノンペンで開催された「第37回ユネスコ世界遺産委員会」において、富士山がめでたく世界文化遺産に登録された。だが、それは条件付きの登録だった。とりあえず世界遺産に登録はするが、一定期間の間に問題を改善しなくてはならないという厳しいものだ。

日本政府は2016年2月1日までに、それらの条件をクリアするための具体的な報告書を提出しなければならない。世界遺産登録後に問題が生じ、報告書を求められることはあるが、今回の富士山のように登録時点で提出を求められるケースは他には例がない。その推移によっては世界遺産登録が取り消されることもあり得るというのだ。

その条件というのは富士山の保全に関してである。

(1)文化的景観の手法を反映した資産の総合的な構想(ヴィジョン)
 (2)来訪者戦略
 (3)登山道の保全手法
 (4)情報提供戦略
 (5)危機管理戦略の策定に関する進展状況
 (6)管理計画の全体的な改定の進展状況

つまり、ひと夏のわずかな期間に30万人という膨大な数の登山客が訪れることによって、富士山斜面が損傷される恐れがある。これを守る為には、登山道の保全に対しての対策が必要であるし、登山客の出すゴミやし尿の処理など来訪者の管理について、具体的な戦略を立てる必要があるとユネスコははっきり言ってきているのだ。ガラパゴスが観光客の増加により自然が破壊され、動植物に奇形種が誕生してきている。富士山は高山の為、動植物の数はそれほど多くはないが、本気で対策を練らないとガラパゴス諸島の二の舞になるのは、誰の目からみても疑いはないだろう。

美しい姿を守り続けるには非常に費用がかかる。富士山の自然保全の為には、3万円の入山料が必要との専門家の声!!

富士山は世界遺産に登録された昨年から、任意で「入山料1000円」を徴収している。1シーズンに訪れる登山客30万人が全員が入山料を支払ったとして、3億円の計算になる。しかし、これはあくまで全員が支払った場合の話だ。

入山料の徴収は、昨年2013年7月25日から8月3日までの10日間で試験的に行われた。10日間で3000万円以上が集まり、登山客からは「もっと高くしてもいいのでは」と肯定的な意見もあったようだ。

そして入山料導入2年目の今年、本格的に徴収が始まっている。山梨県は富士山五合目から上(山頂方面)を目指す登山者から任意で「富士山保全協力金」という名称で徴収を開始した。実施期間は7月1日から9月14日までだ。

山梨県は、山開きをして1週間の現地窓口で5525人が計618万2510円支払ったと発表した。コンビニなどでの事前に支払われた金額は含まれていないが、これは登山者全体で7割弱の徴収率となり、予想より金額が下回ったようだ。ただでさえ金額が1000円という低額。そこに7割弱という徴収率。1シーズンに約30万人が訪れるならば、全員が入山料を払ったとして、30万人×1000円=3億円 しかし実際には70%の徴収率の為、2億1000万円しか協力金として集まらない訳で、この金額ではとても富士山の自然環境を守ることはできない。専門家によると最低でも一人7000円は必要だといわれているが、実際3万円は徴収しないと富士山を守ることはできないという話もある。

その理由は、山開きをしている約2ヶ月で30万人が訪れるとすると、平均すると1日5000人の登山客が訪れる計算になる。これが本格的に夏休みに入る8月はどうだろうか。1日5000人平均の登山客の数が当然増えるだろう。やはりそうなると、富士山の自然環境を守る為には、まだまだゴミやし尿処理の設備が整っておらず、到底任意の一人1000円では足りる筈もない。強制で7000円徴収しても登山抑制にならないと考えらえるし、安全確保も出来ない。環境への影響や安全性を確保するには、やはり3万円位の入山料が必要で、これだけでは訪問者抑制力は低い為、他の対策との組み合わせも必要なのではないかと考えられる。

3万円の入山料は世界的にみても決して高い金額ではない。もちろん一般観光客が登山を出来るレベルではないが、南米最高峰のアコンカグアは1000ドル、エベレストなどはチベット側で1万ドル、ネパール側ではなんと2万5000ドルも徴収する山もあるほどだ。

自然遺産登録断念の理由は「汚れているから」。これ以上汚すことなく、自然を守り抜く環境作りが急務だ!!

富士山が世界自然遺産登録を断念した大きな要因は「汚れているから」。世界自然遺産申請をしても却下される恐れがある為に、世界文化遺産で登録申請を行った。富士山は世界的にみてもとても美しい山だ。日本人の誇りと言っても過言ではないだろう。それを自然遺産で登録出来なかったのはとても不本意なことではないだろうか。

だが、富士山の裾野にはゴミが散乱していて、登山道にはトイレや下水の整備が満足なほどされていない現実がある。その為、し尿は垂れ流しというのが現状だ。糞尿まみれの富士山にしてよいのか?この問題を解決しなければ真の美しい富士山とは言えないであろう。

このような状況で、観光客が増加することになれば、更なる整備不足が懸念される。世界遺産に登録されたことにより、自然が破壊されるようなことになれば、それこそ本末転倒ではないだろうか。

世界で一番ゴミ1つ無い綺麗な国と自負している日本。ガラパゴスの二の舞を踏まない為にも、入山料の見直しや、自然保護、環境整備対策を早急に行い、富士山の美しさを未来まで守り抜く必要がある。

美しい姿を保つことが出来れば、本当に富士山を愛する人達が訪れる山になることだろう。その時こそ、本当に世界遺産登録を喜ぶことが出来るのではないだろうか。

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富士山の美しさを守る為にも、世界遺産に登録されたから行くのではなく、登山のや自然保全の知識をしっかり勉強して行くべきです。そうすれば、きっと自然に対する意識も変わり、富士山の未来もきっと美しい姿を保つことが出来ることでしょう。

<「投稿サイト」編集部>