安さが売りのLCC(格安航空会社)、その見せかけの安さに落とし穴 <1/3>

いよいよ夏休み。行楽シーズンの始まりで、旅行の計画を立てている人も多いのではないだろか。
行き先や、日程、そして料金も重要だろう。安く旅をしたいと考えている人も少ないと思うが、気をつけなければならない。

LCC(ローコストキャリア)という言葉が、テレビや新聞の紙面によく登場するようになった。LCCとは格安航空のことだ。LCCが日本に参入し2年が経過しようとしている。20~30年くらい前までは海外旅行はもちろん、旅行や仕事で飛行機を利用するというのは、金持ちのステータス、高根の花だった。
しかし、従来の大手航空会社の格安航空券、そしてLCCの登場で、海外旅行はもちろん、国内の移動手段も飛行機が気軽に利用されるようになってきた。LCCというのは格安航空会社の中でも分類され、必要最低限のサービス、業務しか行わない、文字通りコストを極力抑えている航空会社のことだ。
LCC・ジェットツアー

そんなLCCの最大の魅力は料金が安いということだが、その反面、最大の魅力が最大の弱点であるかのうように、苦情が殺到している。

最近では格安航空会社の、スカイマークのキャビンアテンダント(以下、CA)のユニフォームに、強制ではないものの、ミニスカートを期間限定で採用。非常時の業務に支障が有り危険と指摘された。また、消費税増税の際には、ジェットスタージャパンが、3月31日22時から増税分を料金に上乗せしていたと報道もあったし、ピーチ・アビエーションに至っては、海面激突までわずか20秒という、まさに大惨事が起きる寸前状況まで発生した。
韓国の旅客船の違法だらけの運行で大惨事が起きたのが記憶に新しい最中、どうしてこのような事態が起きたのだろうか。
いまだに続く遅延、欠航。そんなお粗末続きのLCCの核心に迫ってみたい。

LCCが大手航空会社より廉価のようにみえるが、実際はただのみせかけだ!!

ここ数年、海外旅行が円高とLCC(ローコストキャリア)の参入で旅行業界全体にはかなりの追い風となっている。
LCCは文字通りコストを低く抑えている航空会社のことだが、コストを抑えた分航空運賃に反映させ、格安運賃で利用できるというのが最大の魅力だ。旅行や仕事の際に航空運賃を安く抑えられれば、その後の行程で、浮いた分の費用を旅行先で使うことが出来るのは、非常に魅力に感じられている。

では、LCCはいつ頃登場してきたのだろうか。
1977年ニューヨークからロンドンを結んだ「スカイトレイン」の名称で運行したレイカー航空が始まりのようだ。後に多くの会社がLCCに参入してきた。しかし、安定した収益を得られず、財務基盤、外的要因などにより、多くのLCCが参入しては消えていった。

そんな中、LCCに分類される会社が安定して運行をされ、収益をあげ、そして中には大手とまで言えるほどに成長したライアンエアー、イージージェット、ジェットスターなどのLCCもこの10年のうちに誕生、急成長してきた。

では、日本でのLCCの需要はどうだろうか。 2012年3月に日本で初めて就航したLCC、ピーチ・アビエーションを筆頭に、ついに日本でも本格的にLCCが参入してきている。

格安航空会社としてはスカイマークがその草分け的存在として有名だが、同じ2012年にはジェットスタージャパン、2013年にはANA(全日空)が共同出費し誕生したバニラエアなども就航して、今後、海外のように続々とLCCが参入してくる事は間違いないだろう。

LCCの最大の魅力は、冒頭で書いた格安を飛び越えた「超激安運賃」ではないだろうか。
大手航空会社より2割から5割安い上に、席数限定で100円単位の運賃、セール品に至ってはわずか2円という、客寄せのための運賃というのも販売されている。
その他にもLCCならではのメリットがある。そのメリットを幾つか挙げてみると、

1.機材(飛行機のことを航空業界では機材という)が比較的新しい中古機
LCCは新規参入の会社が多い。そのため、運行開始から10年程度の良い中古機材(機体)を、大手航空会社の払い下げを使用している会社がほとんどだ。
昨今の原油価格の高止まりだと運行費用も高くなってしまう。そのためにも、LCCの最大の武器である低コスト・オペレーションのためにも、LCCは中古機材とはいえ、積極的に新しい燃費の良い機材を導入している。
中古でも分解整備を徹底していることによって、故障が少なく、安全面でも運行して20~30年経っている機材より安全といえる。

2.便名、時間、全ての情報がはっきり購入時にわかる
1980年~90年代にかけては大手航空会社の「格安航空券」の時代。
旅行会社のみで購入が出来た。この格安航空券は、航空会社で購入する正規料金よりも大幅に安い代わりに、時間、便名どころか、どこの航空会社かも予約時点でははっきりわからなかった。
そんな「曖昧な航空券」と比較して、購入時点で便名・時間がはっきりする事は、旅行計画を立てる上でも大変便利だ。

3.最低、最大滞在日数の制限がない
LCCの特徴として片道で運賃が決まっているため、大手航空会社で一般的に割引されている航空券に付けられている付帯条件、最低最大滞在日数などがない(最低2泊など)。そのため日帰りも可能。

4.片道でも安い
大手航空会社の場合、往復ではそこそこ安くはなっているが、一部の航空会社を除き、片道はかなり割高でほぼ正規料金というのが一般的。LCCは前述通り、片道ベース料金設定のため、片道でも安くなっている。

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