日本中が湧いた富士山の世界文化遺産登録。しかし、糞尿まみれでその美しさを維持できない恐れあり??  <1/2>

今年の6月、群馬県にある富岡製糸場が、世界文化遺産に登録され、これで国内の世界遺産は文化遺産、自然遺産を合わせて18件となった。昨年富岡製糸場の前に、国内17番目で、日本が世界に誇る富士山が世界文化遺産に登録された。

世界文化遺産の登録名は「富士山一信仰の対象と芸術の源泉」。登録されて2年目の今年も、多くの登山客が見込めるだろう。

 世界遺産に登録されるということは、日本人としてとても誇らしいし嬉しいことだ。また、世界遺産登録されることにより、世界中に名前が知れ渡り、観光客増加につながる。その為、地元の喜びは一入(ひとしお)だろう。

 しかし、浮かれてばかりはいられない。登山客や観光客が増えるということは、それだけ自然が少なからず破壊される。なぜなら、その辺の低い山を登るのとは違い、ゴミや、し尿の処理など多くの問題が出てくる。富士山は当初、世界自然遺産での登録を目指していたが、それらの問題を解決出来ず、自然遺産での登録が難しかった為に、文化遺産での登録申請に変更をした経緯がある。

 今年はすでに山開きが行われており、多くの人々で賑わっている。では、富士山の美しい自然や環境を守るにはどうしたらよいだろうか。観光産業で栄ようとした、エクアドル領のガラパゴス諸島。しかし、今は無残にゴミが散乱して「ごみアイランド」になってしまっている。

富士山がガラパゴスの二の舞にならないように提言したい。

世界登録により、劇的に増える観光客。多々ある問題の対策をしないと、富士山は死の山になってしまう!!

今年の山開きは、山梨県側で7/1から9/14、静岡県側で7/10から9/10で、多くの登山客で賑わっている。山梨、静岡、両県とも「我が県から見た富士山の方が美しい!!」と言い争うほど、とても美しく自然豊かな富士山は、日本人の象徴であり誇りだ。昨年世界文化遺産に登録され、地元だけではなく日本中が湧いた。

世界遺産に登録されるということは、地元はもちろん大変喜ばしく、誇らしいだろう。だが、それ以上に観光客の増加、海外からも観光客が増え、地元はもちろん、国内の経済が潤うことはとても良いことだ。

平成17年に200,292人だった登山客数が、世界遺産に登録目指したここ近年、平成24年から30万人を超えている。やはり世界遺産登録の影響だろう。これは富士山周辺の観光産業にはとても大きな経済効果にあっただろうと思われる。

しかし、世界遺産登録が良いことばかりではないのも事実だ。観光客が増えるということは、し尿やゴミ問題、治安の悪化などが懸念される。これらの対策を真剣に考えないと富士山の将来はとんでもないことになってしまう。

かつては動物の楽園だったガラパゴス諸島。しかし、今は観光客の増加で自然破壊。動物達にとっては地獄になってしまった。

南米エクアドル領の「種の起源」チャールズ・ダーウィンの進化論で知られ、ウミイグアナで有名な「ガラパゴス諸島」。ダーウィンはガラパゴス諸島で多種多様の動植物を記録。これが後の「進化論」を実証する有力なデータとなった。

赤道直下のこの島には、ガラパゴスの固有種が多く、海鳥を除く75%の鳥類、哺乳類は2種類のアシカ類を除く92%、そして爬虫類に至っては、ウミガメを除いた97%がこの島の大変希少な固有種となっている。この島には研究が進んでいない、無脊椎動物を除いても、5500から6000種の動植物が存在すると言われてている。まさに種の起源に相応しい楽園と言っても過言ではなかった。

ガラパゴス諸島に初めて観光客が来たのが1969年。その後増加して、翌年1970年には年間1万人を突破した。その素晴らしい魅力的な自然を求め、観光客は増加の一途を辿って、現在では年間約65000人もの観光客が訪れている。エクアドル政府は観光による経済効果が上がる一方、それに伴う自然破壊の懸念から、様々な対策を行っている。

島に入るためには入島料一律100ドルを支払わなければならない。これは、後述するが、富士山の入山料1000円と同じ種類のものだろうが、一体何の為なのか。

ガラパゴスのゴミや有害物質による、奇形種類の誕生。未来の富士山の姿ではないかと懸念を抱く。

 ガラパゴスは世界中に名が知れ渡り、観光客が増加し、経済的にも潤ってとても良いことばかりに思える。数十年前までは全く観光客が訪れていなかったこのガラパゴス諸島は、短い期間でこのように観光客が増加したのは世界的にも希であろう。

しかし、自然に恵まれていたこの島々では、今や大変な大問題が起こっているが、どのような問題が起きているかというと、まず、巨大なゾウガメやウミイグアナを想像しながら空港に到着すると度肝を抜かれる。真っ黒なアスファルトで舗装された道幅の広い道路が、広大な林を分断するように一直線値に延びている。そこを時速100キロ前後の猛スピードで、タクシーがビュンビュン通り過ぎて行く。以前は1台もなかったタクシーが、約100台にも増え、インターネットカフェまで出現している。

空港には毎日、多くのジェット機が乗り入れ、多くの観光客がこの島を訪れている。その観光客の増加が大問題なのだ。

 ゴミやし尿の処理施設が整っていないガラパゴス。観光客により、毎日多くのゴミやし尿が出る。また、先進諸国並みの生活を送る住民達が出すゴミや生活排水。ゴミはあちこちに散乱し、し尿は垂れ流しに近い状態。ゴミにはプラスチックや薬品など動植物には危険な有害物質が多く含まれている。

 それらを、島固有種の動物が食べ、消化が出来ず当然死ぬものも出てくる。実際にガラパゴスの島によってはリクガメが絶滅した所もあるようだ。また、有害物質を食べることによって、奇形種が誕生してきている。固有種の豊富なガラパゴスが、その姿を保てず大変な危機に直面しているのだ。このようなことが起こるとは、ダーウィンもとても想像していなかったに違いない。

 富士山もガラパゴス諸島の例をしっかり受け止め、対岸の火事として楽観視していられる場合ではないのではないだろうか。