メリットよりも大きなデメリット。値段で決めて後悔するLCCの現状
これらをみるとLCCは料金が安くてとても魅力的な航空会社に見える。しかしLCCには、折角の「メリット」を「デメリット」に変えてしまう要因がとても多過ぎるようだ。
インターネットの普及で、大手航空会社、LCC共に、各航空会社や旅行会社のWebサイトでチケットの予約、購入が出来るようになってきた。
一昔前までは出張などのビジネスで利用する際は、会社の経費削減のため、1円でも安い格安航空券を必死に探していたものだ。
旅行で利用する際も同じで、何カ月も前に旅行の計画を立て、旅行会社を回り、プランを模索していたが、LCCはWebサイトで予約が出来、購入が出来るため大変便利のように思える。
ところが、Webサイトでしか、ほとんどのLCCが予約購入できない上、チケットも自らプリントアウトしなければならないのだ。
インターネットを自由自在に使える人はいいだろう。しかしインターネットが普及したのはここ10数年。年配の方には携帯メールも出来ない人が多く、その人達には選択の余地もないのが現状だ。また、LCCによってはクレジットカードが無いと決済できないなど、折角運賃が安くとも、全ての人達に対応していない。そんなLCCは運賃が安いとはいえ、いかがなものだろか。
前述したが、LCCのメリットは、燃費が良く比較的程度の良い、中古機材を使用している。燃費が良い理由は他にも有り、燃料を余分には積まず機体を軽くして燃費を良くしている一面がある。
では、何が問題なのだろうか。
余分な燃料を積まないということは、天候不良等で上空待機が出来ないということだ。上空待機は悪天候の際よくある。大手航空会社は、燃料を十分余裕を持って積んでいるため、天候回復するまで上空で旋回し待機をして回復次第着陸をする。よほどの事が無い限り他の空港に行き先を変更したり、出発地に引き返したりはしない。
しかし、LCCはどうだろうか。上空待機をしないで目的地に向かう飛行中、天候不良の際は目的地の変更、あるいは早々に欠航を決めてしまうことが多い。
乗客の数名から「二度と乗るか」と苦情があろうが、数名の乗客を失うぐらい問題無い、燃料を多めに積んでコストをかける方が問題、と言うのがLCCの根本的な考え方のようだ。
ビジネスで利用する場合はどうであろう。
会社の経費削減のため、大事な商談にLCCを利用して向い、遅延、欠航、目的地変更で行けない様なことがあれば、目先のコストのため遅刻するような会社は、取引先として二度と相手してくれなくなるのではないだろうか。
旅行の時も同じだ。
メリットで挙げたが、購入時に、いくら便名、時間がはっきりしていても、悪天候等で、早々に欠航や目的地変更などをされたのでは、いくら明確なスケジュールを提示されていても、結局予定通りに旅行は出来なくなるので、移動手段として信用が全くできない。
LCCはコストを極力掛けないようにするため、同一区間を同じ機材を使用して、一日何往復もする。また、LCCのCAは、飛行中に乗客にサービスをする大手航空会社と同じ業務に加え、着陸して乗客を降ろした後に機内の清掃を行う。
次の離陸まで1時間も無いというフライトスケジュールも多く有る。当然時間が足りないと、無いとは思うが業務が手抜きになると考えられるし、次のフライトスケジュールまで業務をこなせず、遅延の原因になり兼ねない。
更に機材が小さいため、前述に重複するが燃料を多く詰むことが出来ず、遠くまで飛べない。アジアの主要都市まで飛ぶことが出来ず、途中の空港に着陸する経由便が多い。
それにより、離着陸時に空港混雑のため遅延の可能性も増え、必然的に、次のフライトに影響が出ることが多くなるし、離着陸時の魔の11分間(離陸時3分、着陸時8分)と呼ばれるように、航空機事故のほとんどがこの時間に起きているとのことで、経由便で離着陸が増えると、当然そのリスクが増えることであろう。
LCC(ローコストキャリア)の安さの秘密は、客が満足出来ない業務をしているからといえば納得できる!!
2012年7月3日にジェットスタージャパンは就航初日に最終便欠航となった。
新規の航空会社としては異例の就航初日欠航だ。これは新千歳空港に着陸した117便が1時間10分遅れで新千歳空港に着陸したため、折り返しの118便成田空港行きが、深夜早朝飛行禁止の始まる午後11時までに到着出来ないためというものだった。
考えられる最大の遅延時間を計算した上での就航だったのか疑問が残る。
早い話、トラブルが有ると代わりの機材を準備するなどの対応が出来ないというのがLCCの致命的な弱点だ。
機材に留まらず、ピーチ・アビエーションはパイロットの病欠が相次ぎ、機長を確保出来ず、5月19日~6月30日の間、国内線、国際線の448便の欠航を決め、補充が進まなかった場合、夏ダイヤが終わる10月25日までに最大2,088便が欠航する恐れがある。病欠で機長が確保できず欠航とは前代未聞である。
欠航や目的地変更等のトラブルの際に、LCCの場合は欠航になった便の振り替えを、その日の別便や、翌日の便で行う位で、運送約款を盾に、一切手配をしてくれない。
また、悪天候とは違い、機材の故障等で遅延、欠航の場合で完全にLCC側に責任があったとしても、LCC運送約款にあるからと、同等の対応しかしないのだ。
要するに、航空券購入時に乗客は運送約款を理解した上で購入しているので、LCCには一切の義務がないと言っているのだ。
だが、実際に運送約款を理解している乗客は殆どいないだろう。
しかし、大手航空会社の場合は、同じくそのように運送約款にあったとしても、ホテルの手配や交通手段の手配等を、会社の信用問題ととらえ、親切に対応してくれる。それは航空会社に限らず、社会の常識として客に親切に対応するのは当たり前のことだろう。
大手航空会社との違いは、更に予約時、搭乗時にもまだまだある。
チケット予約購入時に、預ける荷物の分を申告して料金を支払わないと、搭乗時チェックインできない。仕方がないのでカウンターにて重さを量り預ける訳だが、大変高額な料金を支払わせられることになる。
料金というか、もはや罰金に値するものだ。1kgオーバーなだけでも、中身を積み替えさせ、超過料金を請求される。
当然大手航空会社では問題無く、預けることの出来る許容範囲でもだ。予約時に荷物の重さを申告した場合、数百円程度で済む料金が、チェックインカウンターで当日支払うと、何と数万円請求される事がある。
また、機内持ち込み可能な重さであっても、バッグが既定のサイズ(Webサイトに記載されているが大変分かり難い)に合わないと、機内預け入れ荷物扱いにされ、重さによって高額な料金を請求される。
荷物の料金を追加で支払う事になると、この時点で大手航空会社との料金の差はほとんど無くなる。